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昔の彼女
1正敏
06/22 15:46
この話しは昔付き合っていた彼女との話です。
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返信数:61件

43正敏
11/12 09:51
対面するように、美華と木村が隣同士に座る。
2人は下を向いたままになった。


由香里「美華、その子が新しい彼氏?」


美華「………」


由香里「あんた、答えられないような関係の人を家に上げたわけ?」


美華「彼氏…」


由香里さんが冷たく静かに問い詰める。
木村は動揺したのだろう。視線を泳がせていた。
俺は無言でその状況を見ていた。


由香里「あなた、名前は何て言うの?」


美華「木村くん…」


由香里「あんたに聞いてんじゃないのっ!!」


美華「………」


由香里「木村くんは美華に彼氏がいることを知ってたの?」


木村「いえっ、知らなかったです…」

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44正敏
11/17 15:35
由香里「美華があなたと付き合う前に正敏くんと付き合ってたの。あなたは美華に彼氏がいないと思って付き合ったのね?」

木村「はい…」

由香里「わかった。………美華、あんたは正敏くんとちゃんと別れて木村くんと付き合ったの?」

美華「それは………」

美華が口を閉ざす。
話し合わずに流れてしまったからだ。

由香里「あんた、正敏くんと付き合ってるのに他の男と一緒にいたんだってね?それが木村くんとだったみたいね」

美華「うん…」

美華が答えた瞬間、乾いた音がした。

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45正敏
11/21 08:56
パンッ―――由香里さんが美華を叩いたのだ。


由香里「あんた、馬鹿にしてんの!?正敏くんと付き合っていながら他の男と一緒にいるなんて!!それに、あんたが勝手に正敏くんと別れたことにして木村くんと付き合ったらしいじゃない!!」


由香里さんは美華を怒鳴りつけた。
美華は頬を押さえながら泣いていた。
怒りに興奮する由香里さんを俺はなだめるように抑えた。


俺「由香里さんっ!!落ち着いて!!美華にだって言いたいことがあると思うからっ」


美華「………正敏より木村くんの方が好きになっただけだもん」


美華が発した言葉は周囲を黙らせた。
理由としては正しい。だが、あまりに簡単で虚しい。
俺は由香里さんをなだめることさえしなくなるくらいに黙ってしまった。

冷たい空気が流れた。

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46正敏
11/27 16:21
俺は無言でその場を立ち去った。

次の日は学校を休んだ。
美華のあの言葉は辛かった。現実を突きつけられた。

少しは期待していた。別れざる理由があるのでは…と。
木村を好きになっていたなら、何故、俺にいつもと変わらぬ態度で接してきたのか。
頭の中がゴチャゴチャだった。
いろんな思考を巡らせていた。

携帯が鳴る。辺りは夕日で染まっていた。
どうやら俺は眠っていたらしい。

携帯を見ると結衣からの着信だった。
寝ぼけ眼で電話に出る。

俺「どうした…?」

結衣「正敏が学校休んだから心配で…美華ちゃんも休みだったから…今、正敏の家の前にいるんだけど、会えないかな…?」


結衣は心配して俺の家まで来ていた。
俺は玄関まで結衣を迎えに行った。

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47正敏
11/30 11:36
ドアを開けた瞬間、結衣の泣きそうになる顔を見た。

正敏「ど、どうしたんだよ!?」

結衣「だって…正敏も美華ちゃんも休みだったから…嫌ことばかり考えちゃって…」

俺「結衣…ごめん…」

結衣のあんな表情は初めて見た。
俺は結衣を静かに抱きしめた。

家に上がり、結衣が落ち着くのを待った。
俺の両親は家を開けることが多い。
まぁ、それはそれで楽だからいい。
兄弟もいない。一人っ子だ。

俺と結衣しかいない空間。
泣き続ける結衣。黙って俯く俺。
数分経ったとき、結衣が口を開いた。

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48正敏
12/03 15:02
結衣「美華ちゃんも休んでたこと…正敏には関係ないんだよね?」

美華が休んだ理由はわからない。
ただ、昨日のことが関係してるのかもしれない。
俺は結衣に昨日のことを話した。

結衣「そんなことがあったんだ…」

俺「うん…美華が休んだ理由に、少しは関係あるかもしれない…」

沈黙が流れる。
そのとき、結衣が静かに話し始めた。

結衣「この前…美華ちゃんに何で正敏と勝手に別れたことにしたのか聞いてみたの…」

突然だった。
そんな話をしてたなんて知らなかった。

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49正敏
12/06 08:53
結衣「そしたらね…私のせいみたい…」

俺「えっ…それってどういうことだよ…」

結衣「美華ちゃん…私と正敏が前に付き合ってたこと知ってたの…それで私たちが普通に話してるから、正敏が私をまた好きになったって思ったらしくて…」

美華に結衣との関係は話してなかった。美華は中学が違った。話す必要もないと思ったからだ。
おそらく、俺たちと同じ中学のやつに聞いたのだろう。

結衣「私が正敏と美華ちゃんを邪魔しちゃったの…私が悪いの…」

俺「違う…だって美華は俺と付き合ってる最中に木村と…」

結衣「あれはね…木村くんに相談してたんだって…正敏とのこと…街で一緒にいるのを見かけたのも、ただ相談だけだったって…」

俺「信じねぇよ…そんなの信じられるわけねぇだろっ!!楽しそうにしてたんだぞっ!?どっからどう見たって浮気じゃねぇかよっ!!」

俺は声を荒げた。
今更になってそんなこと言われたって何になる。
現に俺と美華は別れたんだ。
それはまぎれもない事実だ。

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50正敏
12/09 15:32
結衣「やっぱり…ちゃんと2人きりで話したほうがいいよ…私もこのまま正敏といるのは苦しいよ…」


俺「もう美華は関係ない!!今は結衣と付き合ってるんだ!!」


結衣「でも…きゃっ!?」


俺は結衣を押し倒した。
もう何も聞きたくない。何も考えたくなかった。

そして俺は………結衣を無理矢理抱いた。

何かを得るために。
嫌がる結衣を押さえ込み、激しく身体を求めた。

終わったあと、結衣は声を殺して泣いていた。
そして服を着て無言で立ち去った。

俺はやってしまった…。
心配して来てくれたのに、結衣を傷つけた。
追いかけることもできなかった。

その日の夜、俺は結衣にメールをしたが返信は無かった…。

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51正敏
12/12 09:40
次の日、学校へ行ったが、結衣には避けられた。
当たり前だ。謝罪する資格さえない。

そのまま昼休みになった。
と、結衣からメールが来た。

内容は…

「別れよう」

そうなるだろうと思っていた。
だが、それを現実だと受け入れるのは辛すぎた。

俺はまた大事な人を失った。

そして俺は大学へと進んだ。
真新しい生活。普通なら大学生活に心が踊るだろう。
でも、俺はそんな気分じゃなかった。

大学ならではのサークル。
周りは誘いの嵐だ。俺もいくつものサークルに誘われた。
が、どれも入る気にはなれなかった。

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52正敏
12/16 15:21
普通に勉強して、普通に卒業する。
俺はそんなことを思いながら大学生活を送っていた。

大学に入って半年。
衝撃的な出会いをした。
何気なく夕方の棟内を歩いていた。
すると、標識のない部屋があった。
俺は何故か気になり、中へ入ってみた。

すると…そこには声も出なくなるほどの綺麗な絵が置かれていた。
美華との事があって以来、ずっと絵を描いていなかった俺に衝撃が走った。
夕陽が当たっていた効果もあるのだろう。だが、高校のときに絵をかじっていた俺には、夕陽がどうこうではなかった。

そんな素晴らしい絵に見入っていた俺の肩を誰かが叩いた。
我に返り振り返ると、そこには長い黒髪の女性が立っていた。

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